仙北市田沢湖町刺巻湿原は、雪国に春を告げるミズバショウ、ザゼンソウの群生地。ハンノキ林に広がる湿地の広さは約3ha。湿地内には木道が整備され、湿原に咲く清楚なミズバショウが一面に咲き、その中にザゼンソウの花も見ることができる。特に気軽に花の撮影を楽しみたい方にオススメのスポットである。(撮影日:4月10日)
 湿原の入り口には、広い駐車場がある。4月上旬から5月上旬にかけて<「刺巻水ばしょう祭り」が開催され、郷土料理や特産品の販売、イベントなどが行われる。湿地内の木道を散策後に、イワナの塩焼きや郷土料理を味わうことができる。
 ハンノキ林内の面積は約10ha、そのうちミズバショウの群生面積は約3haで、約6万株と言われている。林内に木道があり、ミズバショウとザゼンソウの群落を気軽に鑑賞できる。
刺巻湿原に咲くザゼンソウ
▲ザゼンソウの花序は、葉に先だって開く
 刺巻湿原には木道があり、撮影のために湿地に入ることはできない。つまり、遠くに写したい山野草があっても、自分から被写体に近づくことはできない。だから、一眼レフの場合は望遠レンズ、コンパクトデジカメの場合は、高倍率のデジカメが便利。上の写真は、早春のイメージを出すために、100~300mmの望遠レンズで奥の残雪を背景に取り込んで撮影してみた。
▲仲良く肩を寄せ合うように咲く。そのザゼンソウの株の周りを、春の光が優しく包み込む。
 ザゼンソウは、ミズバショウより一足早く咲き始める。その名は、花序の様子を座禅僧に見立てたもの。ミズバショウと同じ仲間で、自生地も花の時期も同じだが、数は少ない。傷をつけると臭い匂いを出し、アメリカではスカンクキャベツと呼ばれているらしい。
▲雪解けの春
 ザゼンソウが両手を挙げて「バンザイ」をしながら、春の訪れを喜んでいるようにも見える。
▲キラリと光る雪解け水
 ちょっとコントラストが強過ぎて、サゼンソウが暗く写ってしまったが、狙いは背後の水面に反射する光・・・適度にボケてくれたので、春爛漫の雰囲気は出たように思う。
▲残雪と草花
▲清冽な流れとザゼンソウ
清楚なミズバショウ群落
 ハンノキ林内をゆったり流れる水辺に、清楚な白い花・ミズバジョウが点々と咲き乱れる。雪解けの早い手前は、見頃だったが、奥へ行くに従ってまばらだった。反面、奥はミズバショウより一足早く咲くザゼンソウが目立った。
▲刺巻湿原のミズバショウ
 ミズバショウは、雪解けを待ちかねたように湿地に咲く。白色卵形の仏炎苞が、円柱状の花序を包む。葉は花が終わった後に出て来て大きくなる。尾瀬のミズバショウが有名だが、雪国では珍しくもなく、山地の沢沿いや湿地に普通に見られる。葉が成長すると、芭蕉の葉に似ることから水芭蕉という。
 ミズバショウは、花が縦に大きく咲くだけに、撮影も縦の構図で撮る場合が多い。しかしWEBページでは、縦の写真よりも横の写真の方が扱いやすい。よって、どうしても横の構図オンリーの写真になってしまうので注意。
 上の写真は、コンパクト機・ニコンCOOLPIX4500で撮影したもの。ご覧のとおり、奥までピントが合ったパンフォーカス的な風景写真で、ちょっと物足りない。
▲残雪とミズバショウ
 雪が解けたばかりの湿地帯は、葉が小さく、白の仏炎苞と中の花序が際立ち美しい
▲ミズバショウとサゼンソウの混生
 刺巻湿原のミズバショウは4月上旬頃から咲くが、標高1000mの八幡平・大場谷地は、5月下旬頃から咲く。その差は1ヶ月半にも及ぶ。雪国秋田の春告げ花は、里から山に向かってゆっくりと咲き続ける。つまり、花の咲く場所を移動しながら歩けば、春の草花を二ヶ月以上にわたって楽しむことができる。

湿地内のキクザキイチゲ
▲水辺に咲く紫色のキクザキイチゲ
 手前の花ではなく、水辺に近い花にピントを合わせて撮影してみた。
▲白のキクザキイチゲ
 狙ったとおり、背景が美しくぼけ、手前のイチゲが浮き立って見える。手前の色と背景のぼけた色が同じ白だから、イチゲの花が一面群生していることも同時に表現できる。

▲刺巻湿原周辺MAP(カシミール3D)
 MAPの中心付近の湿地マークがある場所が刺巻湿原である。刺巻湿原は、国道46号沿いにあり、JR刺巻駅から徒歩15分と交通の便がいい。
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