藤里町 白神山地自然観察会

~峨瓏峡と高山を散策~

平成23年5月4日(水)白神山地世界遺産センターの主催による、
自然観察会「みどりの日の集い~峨瓏峡と高山を散策~」が開かれました。
白神山地の麓に位置する藤里町は、そこかしこに残る里山を歩くだけで、
豊かな白神の自然に巡り合うことができます。

 
 

まず訪れたのが、寺屋布地区のあるイチョウの大木です。
「権現の大イチョウ」と称されるこの木は、樹高25m、樹幹8.5mもあり、

昭和30年1月、県の天然記念物に指定されました。

 

 

 

↑「権現の大イチョウ」もちろん葉はまだ。

 

←気根は全てのイチョウにできるものでは

 ないそうです。

「権現の大イチョウ」の特徴は、その大きさはさることながら、

枝や幹から根が発達し空気中に伸びた「気根」が多いことだそうです。
その形状を乳房に見たて、安産や子宝祈願のシンボルともされている「気根」ですが、

実際に、母乳の少ない母親が気根を触り、自分の母乳が出るようにと願ったそうです。

 

ガイドは、白神ぶなっこ教室のスタッフとしてもお世話になっている鎌田孝一さん(中央)。

出発のあいさつで鎌田さんは、「散策の途中で植物を採らないようにしてください。

次の世代の人が見れるように残していきたいからです」と話し、保護の意味を伝えました。

   
白糸の滝  木隠れの滝

峨瓏大滝を形成する峨瓏峡のわきにも、いくつかの滝があります。

木隠れの滝は、新緑を過ぎるとその陰に隠れてしまうことから名付けられました。

   

鎌田さんが指さす先にあるのは「クモノスシダ」という小型の常緑シダです。

このような岩壁に生息し、葉の先端を糸状に細く伸ばして岩壁に付着させ、

そこからまた再び個体を発生させる植物で、県内では観察するのは珍しいとのことです。

 
 

途中、見事なミズバショウの群生地を発見しました。

「草を刈り払って橋をかけよう。」と鎌田さん。

来年の春は、藤里町でゆっくりとミズバショウ鑑賞ができるかもしれませんね。

   
かつて林業で栄えた藤里町では、この峨瓏峡沿いにも森林軌道が敷かれていました。
今では、トロッコが走った橋桁だけがポツンポツンと残っています。
 
 

本格的な山道に入り、いよいよ標高389mの高山頂上を目指します。

 

階段が設置されていたりと、比較的整備されている道ですが、

頂上付近までその傾斜が続くので、今年初登山の私にはなかなか大変でした。

   

やっと到着した頂上はこの通りのすごい霧。全く見えません。

本来は藤里駒ケ岳や田代岳が一望できるそうです。

下山後、「頂上の風景は残念だったけど、イチョウの木が素晴らしかった」とか

「寒かったけど、カワセミを見れました」など、悪天候の中でもみなさんそれぞれに

楽しんだようでした。今度は晴れた日に登ってみたいと思います。

この日の様子は、環境省東北地方環境事務所の
「アクティブレンジャー日記」でも
ご紹介されています!こちらもご覧くださいね。

県北担当やっつ