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Flower travel 1 Visiting in spring
 「山があるからではなく、花があるから山に登るんです」(女性登山家・坂倉登喜子)

 コマクサの群生地として知られる秋田駒ヶ岳は、豊富な高山植物群落の山でもある。
 山頂直下の「阿弥陀池」と「浄土平」の周辺一帯は.多種多様な花々の大群生地となって、春から秋まで可憐にそして美しく咲き誇る。この地域は国の天然記念物に指定されている。

  五月も中旬.若葉の萌葱色が春の光に溶け出すと、山全体から晴れやかな音楽が聞こえる気分になる。そして五月下旬、秋田駒の高嶺の花々は一斉に乱舞をはじめる。
  ミヤマキンバイ、ムラサキヤシオツツジ、オオバキスミレ、ミヤマスミレ、イワカガミ、シラネアオイ…・。

 

 


キクザキイチゲ

水沢新緑。蟹沢、黒湯沢、赤倉沢の流域ではブナ原生林の芽吹きが始り、萌葱色の美しい新緑のブナ林に生まれ変わっていく。その林床では、それまで固い雪の層に覆われていた太い幹の回りには春の光をいっぱいに受けて、キクザキイチゲの花が紫や白の花弁で華やかに飾りたてている。

 

 


ザゼンソウ

オアシス。芽吹きはじめたブナ林を雪解け水が流れ出す。その源流近くでは、ミズバショウ、エゾリュウキンカの花が群落となって原生の花園を造っている。
踊るダケカンバ。森林限界付近では、著しく曲がる。樹皮は灰褐色。シラカンバとの区別は、樹皮の色のほか、ダケカンバはやや葉に光沢があり、花穂が上向きにつくなどで見分ける。 笹森残月。4月中旬の未明、やがて笹森山に曙光が届いた。上空には、薄い輝きで半月が残っていた。
クマガイソウ。日本の野生ランの中でも大きいもので、変わった袋状の花形を熊谷直実の背負っていた母衣(ほろ)に見立てて名付けたという。 ミネザクラ。高山に咲く桜で、汗して登る山道を華やかに飾ってくれる。里で4月に花見をして山に登ると、7月まで連続して花見ができる有り難い花である。
タケシマラン。亜高山帯の針葉樹林帯に生える。葉のわきから淡赤褐色の小花を垂れ下げる。果実は赤く熟し美しい。 タムシバ。山地に生える落葉小高木。枝に芳香がある。花は白色、花弁は6枚。

 

イワキンバイ。地味な岩肌を艶やかな黄色で彩る花である。高山帯の岩場には、花弁の先がへこんでいるミヤマキンバイが自生し、イワキンバイの花弁の先は丸くなっているので、その辺が見分けのポイント。 ツルネコノメソウ。清冽な流れがほとばしる苔蒸した小沢の岩に群落を形成する。瑞々しさと涼感を誘う花である。
タニウツギ。山地渓流沿いに咲くタニウツギは、清冽な流れに映えて美しい。高さ2~3mの落葉低木。枝先や葉のわきに淡紅色の花を多数つける。

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