伝統の味 佃煮
世界には気候や風土の関係で長期にわたり食料の確保が難しい土地があります。そんな土地で生活の知恵として工夫され、昔から食べられてきたのが保存食です。保存食は食べ物を発酵、乾燥、燻製などの技術で加工して長期間食べれるようにすること。世界各国では今なお多くの保存食が作られ、毎日の食卓を豊かにしています。
ここ日本でも、保存食として昔から人々に愛され、日本の食卓に欠かすことのできないのが「佃煮」です。そんな先人の知恵から生まれた保存食・佃煮を昔から大事にしているお店が秋田県の潟上市にあります。
今回足を運んだのが千田佐市商店です。こちらの佃煮屋さんは、明治30年より佃煮を製造してきたお店です。初代千田佐市さんの名を受け継ぎ、秋田県にある八郎湖で採れるわかさぎ製品を中心に伝統の味を作り続けています。
昔からの伝統の味を守りながらも、新商品の開発にも力を入れ、今では県内から日本全国各地へ、こだわりの製品を提供しつづけています。
「佃煮を作るこだわりとして、まず鮮度のいい高品質な素材を厳選をするのが一番大事」と社長の千田清隆さんは言います。それは昔から受け継がれてきた千田佐市商店のこだわりでもあります。職人が採ってきた高品質な素材を丁寧にお店まで運び、そこから佃煮にしていきます。
そして、素材の味を生かし、旨味を引き出すことのできる上質な調味料も美味しい佃煮を作るうえでは欠かせません。醤油、砂糖、さらにミネラルを含み、上品な風味がする水飴など佃煮を作るうえで欠かせない調味料たちに関して決して品質を妥協せず、良いものを作るよう取り組んでいます。
創業してから約120年以上、佃煮を作ってきましたが、今では商品の数は40種類以上。伝統の味から新しい商品まで、佃煮を製造している場所の隣に位置する千田佐市さんのお店にはたくさんの商品を出してきたのが一目でわかります。
中でも新商品の「つくだ煮屋さんのリエット」シリーズは巷でたくさんの方に好評いただいている商品です。国産の玉ねぎに、あらかじめほぐした鮪を加えてしっかり煮込みました。ベルモットと呼ばれるハーブワインや洋風だしなどを使うことで、パンやクラッカーと一緒に、ワインと一緒に食べても楽しめる新感覚の佃煮に仕上がっています。
佃煮だけ食べるのもよし、おにぎりのトッピングにするのもよし、またはお酒のおつまみにするのもよし。
今回、千田佐市商店の中を見学してわかったことは、昔からのこだわりを守り続けるお店とそれを支える職人さんたちがいて、佃煮が作れるということ。ここ秋田でも千田佐市商店の佃煮が親しまれる理由がここにありました。
全てが素晴らしかったから一つを選べと言われると難しい。佃煮の第一工程である魚の選別作業は興味深かった。また、独自の工程も見させていただいたのは面白かった。多種多様な調理方法を観れたのが面白かった。それぞれの味の違いも堪能することができ、また新商品であるヨーロッパ風の調理法の佃煮も新しく感じた。