山菜採り

世界的な健康促進の運動として、主にヨーロッパで発祥したオーガニック農法が盛んに取り組まれています。オーガニックとは、農作物を育てる際に農薬や化学肥料を用いず、太陽や水、土、生息する生物などの自然を生かしていく農法です。食品を食べる人だけではなく、田畑やその周辺の環境、生態系も保全しています。オーガニック農法は、一般の食品に比べて可能な限り化学的物質を排除しているため、より安全な食品と言えます。

現在のオーガニック農法や制度は、1920年頃にドイツ人の学者が生み出しました。ヨーロッパを中心にオーガニックの考え方が広まり、食品だけでなく生活用品やコスメなどもオーガニック農法が応用されているようです。

日本の東北地方に位置する秋田県では、オーガニックの真骨頂とも言える食文化があります。現地の人が食べているのは、野山に生える”山菜”と呼ばれる植物です。秋田県は日本でも有数の豪雪地帯で、冬は一面が雪に覆われます。昔は、冬に農作物を作ることができず、春がやって来る頃には食料が不足してしまいます。そのため、雪が溶けた野山に入り食べれる植物を探さなければなりませんでした。山菜は、野山に自然に生息する植物なので、自然環境の影響を強く受けます。昨年の気候が不安定だったりすると急に姿を消したりします。広大な野山にはもちろん化学的な肥料などはありません。自然の恵みを一身に受けて育つ山菜は秋田県が誇るスーパーオーガニック食品と言えます。

山菜は種類が豊富で様々な味を楽しむことができますが、野山にはもちろん食べられない植物も多く生息してます。山菜採りの名人と一緒に採りにいくことがお勧めです。秋田県の阿仁地方には、山菜採りの名人である鈴木秀雄さんがいます。秀雄さんは小さい頃から農山村で生活していて、現在は山登りのガイドや山の整備の仕事もしています。秀雄さんは山の中で視力がとても良く、遠くからでも山菜を見極めて簡単に見つけます。秀雄さんから食べれる山菜の特徴や食べごろを教えてもらうと、少しずつ自分でも山菜を見分けることができるようになります。

美味しい山菜は人気が高く、シーズンが始まるとすぐになくなってしまうので、野山の季節の移り変わりをチェックしておくのが重要です。

山菜、タイにも似たような野菜がありますが、山で採ったりしたことはありませんでした。実際に山に入ると、秋田の人はどんどん山菜を採っていきます。最初、わたしにはどれが山菜でどれがたんなる植物なのか分かりませんでした。しかし、徐々に慣れてくると、自分の目で山菜を見分けることができるようになり、いたるところに山菜があることが分かりました。山の景色が変わった体験でした。