じゅんさい摘み取り-日本の自然から生まれた輝くゼリー

日本には、エメラルドグリーンに輝くゼリーがあります。その名は「じゅんさい」です。じゅんさいは、きれいな淡水の沼に生息している水草の一種で、水中で成長します。

水深50cm~1mほどの沼底に根を張り、水面に向かって伸びていきます。水面に緑色の楕円形の葉をつけ、春から夏の収穫シーズンのじゅんさい沼は、綺麗な緑色の葉のじゅうたんが広がります。

食用として摘み取られるじゅんさいは水中にある新芽です。水面の葉をかき分けると茎の部分からぷるぷるの透明なゼリーに包まれている新芽が顔を出します。この新芽を収穫すると、ぷるぷるのゼリーとじゅんさいの緑色が太陽の光で反射してきらきらと輝いて見えます。これが日本の自然から生まれたエメラルドグリーンに輝くゼリーです。ポン酢やしょうゆをかけて食べる生じゅんさいは、ゼリーのぷるぷるした食感と新芽に詰まった自然の味を楽しめます。

秋田県三種町はじゅんさいの収穫量日本一で、全国で収穫されるじゅんさいの9割以上が三種町産です。三種町にはもともと、森岳地区にある角助沼、惣三郎沼という沼にじゅんさいが自生しており、誰かが小舟を浮かべて収穫したことから徐々に人々に知れ渡っていったようです。当時は、じゅんさいが自然の沼に自生していたので、自治体によって認められたじゅんさいの「つみこ」が収穫をしていました。

その後、農家さんたちが自分の沼にじゅんさいを植えて栽培し始めたことで、三種町にじゅんさいが広がり日本一のじゅんさい産地になりました。

石井光子さんは秋田県三種町に住んでいるじゅんさい農家です。じゅんさいを始めてから35年になります。石井さんは低農薬でじゅんさいを育てることに力を入れていて、安心で美味しいじゅんさいを作っています。

「うちのじゅんさいは農薬をほとんど使わないから、天候や虫に左右されることが多く、手入れが大変です。食べるものだから少しくらい大変でも体にいいものを作りたいと思っています。(石井さん)」

じゅんさいの収穫は、「つみこ」と呼ばれる人がじゅんさい沼に浮かべた小舟に乗り、手作業で一つ一つ摘み取っていきます。新芽が水面の葉に隠れていて、大きさも様々なので機械で収穫することができないのです。じゅんさいの収穫シーズンは5月~8月の4か月間しかなく、収穫期になるとつみこは1日のほとんどの時間を小舟の上で過ごします。

「じゅんさいの新芽を摘み取るときは、小さめの新芽と茎を少しつけるようにします。小さいつぼみも一緒に摘むときもあります。つぼみもおいしいです。じゅんさいの新芽は小さくて形の綺麗なものが人気で市場でも高い値段がついているようです。けれど、食べておいしいのは大きくてぬめりがある新芽なので自分たちで食べるときは少し大きい新芽を摘んでいます。(石井さん)」

じゅんさい、沼からの美味。
秋田に移住して来てからよく山菜を採りに山へ行くが、沼で山菜を採るのは初めてでした。今回は農家さんのじゅんさい畑にお邪魔し、説明を聞いて準備したら早速ボードに乗りました。優しく水面に浮かべる葉っぱをよけて、下に隠れている若芽を摘みました。つるつるプリプリで、最初は取りづらかったですが、慣れたら時間も忘れるくらい、若芽を見つけて採ることに集中していました。とても楽しかったです。