りんご
土地の気候や地質、つまり風土の違いによって、その土地で育つ作物もそれぞれ異なります。人は育つ作物に合わせて日々の生活を工夫し、風土に合った生活スタイルを形成していきました。日々の生活の積み重ねの上に人々の知恵が生まれ、そしてそれが文化となりその土地に根付いていきます。
秋田県大館市中山は、土壌が豊かではなかったために米や野菜が育ちづらく、そばの実しかならない土地でしたが、そばだけでは生計を成り立たせることが難しかったため、住人たちは知恵を絞り、そばの生産量を落とさずに同じ畑で育てることができる、りんごを育てることにしました。そのため、中山ではりんごの木の根元にそばが実がなっている光景がよく見られたそうです。
日々の生活の積み重ねの上に地域住民の知恵が生まれ、それがその土地でしか感じられない景色と文化を形作ります。
今では中山は、県内有数のりんごの産地として知られるようになりました。石垣勝敏さんは、父親の代からりんご農家をはじめ、父親の手伝いをしていた頃から換算すると、この道50年のベテランです。
石垣さんの畑は600〜700ヘクタールの広さがあり、東京ドームの150倍近い広さがあります。それぞれ収穫時期の異なる20種類以上のりんごを育てており、その中でも秋田で生まれた「秋田紅あかり」は、2013年に農林水産大臣賞を受賞してから3年連続でノミネートされ、今では殿堂入りとされています。紅あかりは、甘みの強い「王林」と舌ざわりの良い「千秋」を掛け合わせた品種で、鮮やかな紅色をしています。星空のような果点があるのも特徴です。
秋には県内の大学生や留学生向けに、りんごの収穫体験が開催されました。20名以上の参加者が集い、様々な種類のりんごの試食をさせてもらいました。収穫体験に参加した学生たちは、石垣さんに収穫の仕方や美味しいりんごの見分け方を教えてもらいながら、黄金色で柑橘類のような爽やかな風味のある「シナノゴールド」と、濃い紅色で蜜が多く甘みのある「レッドゴールド」の収穫を行いました。
石垣さんの果樹園では、小学校の社会科の授業から社会人まで、様々な時期に収穫体験の受け入れを行っており、収穫時期の異なる多種多様なりんごを育てている石垣さんの畑でしかできません。
「いろんな時期に受け入れをするのは大変だなと思うときもあるけれど、楽しそうに収穫をして美味しいと言ってくれるのはやっぱりうれしいですね。せっかくおいしいりんごを作っているので、ぜひいろんな方に知ってほしいですね。(石垣勝敏)」
最高!私の母国のフィンランドではこの規模のりんご園はまず知らないわ。素敵で綺麗、りんごも美味しかった、大きくて綺麗だしね。