「グリーン・ツーリズムの宿初心者が、先輩を訪ねる」
男鹿半島の一隅・加茂青砂地区に09年9月、漁家民宿「海辺のおうち 青の砂」を開業した土井敏秀・良子です。お叱りを受けるかもしれませんが、正直に言うと、私たち夫婦が「青の砂」を開業したのは、成り行きの積み重なりでした。これといった大義名分もなく「楽しそうだね。やってみっか」のノリです。地に足が着いていないまま……。
ですが家族で、仲間で、一人で、旅をしている方々をお迎えして、「なるほど、これか」と腑に落ちたことがあります。秋田花まるっグリーン・ツーリズム推進協議会アドバイザーの荒樋豊さん(秋田県立大学教授)の一文です。
「相互に相手を友人として認め合うパートナーシップの関係をつくりあげることが、グリーン・ツーリズムにほかなりません」
腑に落ちたのは、来てくれたお客さんと一緒に食事をしながら、時には笑い転げ、互いの人生を語っているのに気づいたからでした。グリーン・ツーリズムは「人」が主役なんだなあ、その人を育てた環境なのだなあ、と納得したのです。
すると、先輩たちはもっと面白い暮らしをしているに違いない、という気持ちが募るばかり。お会いして、グリーン・ツーリズムにたどり着くまでの来し方、多くの人との触れ合いをお聞きしたくなったのです。
これは、それぞれ一夜の宿をお世話になった、その報告です。
「弁天の宿」(由利本荘市東由利)のオーナー高橋京子さん(左)の案内で秋田県指定の天然記念物「岩館のイチョウ」へ。黄色の絨毯を踏みしめ、記念のスナップ | 「輝湖」(仙北市田沢湖)のオーナー高橋忠さん(左)、輝子さん(中)夫妻とツル編みや工芸の話で盛り上がる。土井良子も作っていた時期があっただけに、話は尽きなかった |
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