農家民宿「重松の家」秋の仕事(2011年8月~10月)
「海辺のおうち青の砂」での交流
グリーン・ツーリズム活動の柱となっている、受け入れ農家さんたち。彼らの本業である農作業の様子を、秋田市上新城の農家民宿「重松の家」の一年を通してご紹介してきましたが(「農家民宿「重松の家」春の仕事(2011年4月~5月)」および「農家民宿「重松の家」夏の仕事(2011年6月~7月)」をご覧ください!)、いよいよ農家さんの愛情を受けてまっすぐ育った水稲の刈り取りです! 刈り取りから乾燥・籾すりまでと、夏に大手企業より依頼された加工用トマトの収穫、さらに地域の中学生の校外学習の場となった「きりたんぽづくり体験」までを、「秋の仕事」としてご紹介します。収穫シーズン、皆さんの「待ってました!」の声が聞こえてきそうな、幸せな秋の農村風景です。 また、今回は9月6日に「重松の家」を支える仲間達と共に、男鹿市戸賀加茂青砂にある漁家民宿「海辺のおうち 青の砂」の土井さん宅に訪問した際の、交流会の様子も併せてご紹介いたします。 |
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◆トマトの収穫 |
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8月下旬~9月上旬、大手企業「カゴメ」との提携で栽培していた加工用トマトの収穫が行われました。 秋田市上新城集落にある畑はもともと、休耕田だった場所です。「ここ開墾して、再び植物を作付することができたのは、嬉しいことよ」と、「重松の家」の佐藤さんご夫妻と、一緒に協力し合った地域の方々。 |
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農家民宿「重松の家」のお父さん・佐藤重博さん。
真っ赤に色づいた加工用トマト。これらはやがて、ケチャップなどに加工・流通されます。上新城の豊かな自然で育った、美味しいトマト。いったいどなたのお口に入るのでしょう…。 |
たばこ(秋田で、農作業の合間の休憩のこと)中。 |
✿ 「 海 辺 の お う ち 青 の 砂 」 で の 交 流 ✿ |
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稲刈り前の9月6日、かねてより「農繁期が過ぎたら、どこか(当協議会の)会員さんのところに出かけて交流をしたい」と祐子さんが言っていたように、農家民宿「重松の家」で日頃から手伝いに来てくださる上新城地域の祐子さんのご友人らとともに、男鹿市戸賀加茂青砂にある漁家民宿「海辺のおうち 青の砂」の土井さん宅を伺いました。 |
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これまでに見たことのないような真っ青な男鹿の海に「ま~、綺麗ねぇ!」と見入る皆さん。 |
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ハマナス等、各家々の軒先に咲く花々を見ながら、加茂青砂集落内を散策。 |
「いらっしゃ~い」と、作業の手を休めて出迎える土井良子さん。 |
「天候のために船が出てなくて、あんまり“海の幸”じゃないけど」と言いながらお料理を出してくださった土井さん。ですが…サザエ三昧(壺焼き・刺身・中華風ご飯)、燻りサーモン、八の字ガニ(ワタリガニ)のアオサ入り味噌汁、ブリコハタハタ、手作りの塩辛(ワタ入り)、メカブ(紅葉おろし入り)、白いえご、ふうき豆の甘納豆など、充分に海の幸のご馳走だったと思います! |
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(写真上)手作りの「白いえご」を突いてくれました。
(写真右)サザエのつぼ焼きと、ナスがっこ。 |
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部屋中を海風が渡り、ときおりシャラシャラと聞こえるウインドチャイムの音。爽やかなグリッサンド音は、おしゃべりに花を咲かせてくれました。 |
良子さんが生けたお花も、あちらこちらに咲いていました。こちらは、玄関を入ってすぐの棚の上にあって、皆を出迎えてくれました。 |
「この花も撮って~」とリクエストされたフウセンカヅラ。良子さんが生けた中でも特にお気に入りだそう。 |
二階へと続く階段側も、木のぬくもりに合うアートな雰囲気です。 |
「海辺は憧れ、こさ来れでぃがった~!」と、皆さん満足そう。「山・川・田ばり見慣れて、あぎしてしまった農家(の休息)さだばは、海は本当におすすめだな~」とのこと。 |
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(写真左)佐藤祐子さんと、土井良子さん。「今度は女子会さねばな(笑)」お互いの交流が続きますように!
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「あんだだば、器用だ~」と、良子さんが作った「こだし作り」のカゴに見入る祐子さん。
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「この先~」の標語は、車の通れないくらい狭い道という意味ですが、当然この地域にお住まいの方は、車で通り抜けることが可能です。 |
加茂青砂に行った際にはぜひ、加茂青砂小学校奥・カンカネ洞近くにある広々として見晴らしの良い駐車場をご利用ください。 |
◆ひえ刈り・稲刈り・籾すり |
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農家民宿「重松の家」の稲刈りの風景。佐藤ご夫妻が互いの作業を確認しながらすすめていきます。 今回刈り取ったのは「エコ米(10種類以下の減農薬)」を43石分。この量想像できますか(参考までに、人間が一日に食べる分を約1合として、1合×10が1升、1升×10が1斗、1斗×10が1石です)。さて、いったい何人分の食料に当たるでしょう? |
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稲刈りの前に待っているのが、「ひえ刈り」。稲よりも背丈が高いのが「ひえ」ですが、他の稲を傷つけないよう手刈りをするのが大変な作業です。 |
稲刈りをする重博さんが乗っているバインは、2畳分ですが「何度も何度も(田んぼを)往復さねばなんねども、そのかわり、角々小回りがきくべ」とのこと。 |
籾を軽トラに積んだ籾コンテナに移します。 |
山と積まれた籾。 |
乾燥機へパイプをつなぐ祐子さんは、力持ち。 |
乾燥機へ入る籾。 |
慎重に機械の様子を見守る重博さん。 |
2斗袋(30kg)に手早く詰め、次に詰める袋を広げる祐子さん。 |
軽トラのコンテナには、この2斗袋が一度に20袋分、乾燥機には100袋分に相当する籾が入るとのことで、軽トラで一日5回は往復します。「乾燥機に入る米の量が限られているから、一日にそれ以上は刈らない。だから雨が降ると途端に作業効率が悪くなる」と、佐藤さん。さらに、袋の重さが230gとして、更に(その種類や良否を検査する)差米をしても正味が30kgより足りなくならぬよう、米は32.2kg入れるのだそうです。「米を詰める」、たったそれだけと思われる作業も、ちゃんと考えられて行われているのですね。 |
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◆学生の体験受け入れ |
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地元・飯島中学校1年生の校外学習「きりたんぽ作り体験」の様子。 |
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「一度こんがりと焼いたタンポに甘味噌を塗り、表面をあぶったら出来上がりです」と、農家民宿「重松の家」の佐藤ご夫妻指導どおり、丁寧に作る子どもたち。 |
こんがりと焼けた味噌タンポ。 |
試食。皆で作ったたんぽは、格別に美味しいね。 |
先日は、スポーツ強化学校として知られている九州の中村学園バスケットボール部の子どもたちが、インターハイの宿として「重松の家」に泊まったそうです。その時のお話を聞きながら、後日子どもたちから直接送られてきたという手紙も見せてもらいました。 「美味しいお料理、ありがとう」というお礼の言葉を書いた子どは、普段は絶対に食べないという野菜も「美味しい!」と言いながら食べたのだそうです。「子どもたちだけで、泊まりに来たんだだや。普段は親から離れて合宿してるだもんで、寂しかったんだべ。本当に楽しそうにしてた」と言う祐子さん。写真や手描きのイラストと共に、「疲れた体も癒されました」「秋田、最高!また、来るからね」などのメッセージが便箋いっぱいに書かれており、子どもたちの心が伝わってきます。祐子さんも、本当に嬉しそう。子どもだちは、佐藤さんご夫妻の優しさを受けながら、この秋田の地で十分に体力をつけて帰ったようです。
これから季節はどんどん寒くなっていきますが、心がほっと温まるような農家民宿「重松の家」に、ほっこりしに行ってみてはいかがでしょう。
県央地区現地特派員 よどぎみ |
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5月27日、白百合保育園の年長組の園児が田植えを行った田んぼ。しっかりと実り、今は刈り取られています。 |
住所 秋田市上新城小又字田中13 朝食のみ 5,000円 ※「卵かけごはん」は基本、 宿泊者のみに振る舞われます。 |
★ お ま け ★ | |
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春に育苗ハウスとして使用されていた場所は、重松の家の野菜ハウスとなっていました。「白菜持ってけ~」と、祐子さんに呼び止められました。受け取った袋を覗くと、白菜だけでなく、ナスだとかモロヘイヤだとか、沢山の野菜が沢山詰められていました。恐縮至極…いつも感謝でいっぱいです。 |
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加工用トマトの試食(トマトジュース)。 |
勝手口で、いつもよどぎみを狙っている猫たち。 |