「秋田市グリーン・ツーリズムモデルプラン(主催:太平山観光開発株式会社)」の第3弾となる今回は、秋田市外旭川にある「秋田洋ラン園」にて、栽培が非常に難しいといわれているシンビジウム(以下、シンビ)に関する体験です(第1弾は「重松の家流、米粉de料理術~農家民宿「重松の家」の米粉料理教室~」、第2弾は「農家レストラン・地張庵の奮闘記~地域内外の交流を通して~」でご紹介しました)。
指導してくださったのは、園主・戸嶋忠彦さんと、奥さんのヒサさん。
「秋田洋ラン園」は、秋田で唯一原種から交配種まで世界中の様々な種類の洋蘭を 輸入・生産・販売しており、その名が知られています。
皆さんがそれぞれ持ち寄った鉢は全て状態の違うものでしたが、本日一番の「重症患者(鉢)」はコチラ↑。
「根が腐れてるよ。こりゃあ、(今回の体験プログラムの)鉢増し・株分どころでなくて、土減らしオペが必要だな」と忠彦さんに指導され驚く参加者・石井千万太郎さん。しかも、シンビの根元(バルブ)の何倍もある大きな鉢で育てていたため、「もっと小さな鉢でないと植物が安心してしまって根が成長しないよ」と、キビシイ一言。千万太郎さんはそれでも、「5年ほど前に手に入れた1本立ちのシンビを、車の中でダメにしてしまった苦い記憶があるので、今回は生かそうと思ってるんです。がんばります!!」と意気込みます。
「葉の裏を防ダニや殺菌することも大事だし、人間同様、ともかく足腰となる部分“根”を丈夫にしないと。茶色くてブヨブヨした根はいっそ切り落として、白くてハリのあるものを残し、小さな鉢に植え直し“根が回った”ということをシンビに認識させてください。その際養生させるために水やりは一切しないこと。葉に霧吹きするだけで結構です。そしたら丈夫な根が張り、新芽も出てくる。成長とともに徐々にひと回りずつ大きな鉢に植え替えていくことです。目指すは、この形(下記写真左)」と、見本を見せながら丁寧に指導する忠彦さん。
小さな鉢に植え直しをして、だいぶすっきりとした、千万太郎さんのシンビ(上記写真右)。この方が確かに、栄養が行き届きそう。「人の常識が覆った気分だ。過保護に大きい鉢じゃ、だめだったんだね。生きている根は太くて丈夫そうだから、将来に期待だ!」と、嬉しそう。
「今回は、オペ(植え直し)をしないと大変な“患者(鉢)さん”が沢山だ…」と苦笑する忠彦さんに、大きなオペをし、3つに分けたシンビを持って「こちらの子に、お似合いの鉢を、お分けしていただきたいのですが…」と腰低くお願いする参加者が。その姿が何とも可笑しくて、場は笑いの渦に(上記写真右)。
北秋田市から参加した松橋セツ子さん(上記写真左・左から2人目)は、「4~5年前に退職して、良い花をいただいたのですが、昨年ようやく13本程花をつけたと思ったら、今年の冬は咲かなくて…来年こそは何とか、と思って参加しました。遠くから来た甲斐がありました」と言い、参加者の皆さんが帰った後も熱心に戸嶋さんに質問をしていました。
シンビの花は、おおよそこのような状態で付きます(上記写真左)。見事なファレノプシス(上記写真右)。
カトレア(写真上段左)、胡蝶蘭(薄紫と白)、デンドロビューム(黄)など、園内にはたくさんの洋ランがあります。
気になる方は、電話かファックスで連絡の上、行ってみては?大人しくって人懐っこい愛犬チョコちゃん(ミニチュアダックス)も、お待ちしておりますワン!
もともと岩肌などに自生するランは、少し過酷な状況を乗り越えて強くなっていくので、愛情を込めるあまり過保護すぎても良くないそう。風通しの良い場所で充分に太陽光を与え、気温の変化に気をつけて、適切な栄養を与えていれば、そこそこ期待に応えてくれるのだそうですよ。
人間にちょっと似ていて、全然違う。そんなことを十二分に理解し管理している生産者達って、見ただけで植物の健康状態が判るお医者さんでもあったんですね!
県央地区現地特派員 よどぎみ
2011年5月12日08:00 | 県央情報 | Trackbacks (0)