2月上旬、あきた白神体験センター主催
『冬のあきた白神(その1)「漁師料理を楽しむ」』に参加しました。
感想をひとことで言うと、「さんびして、死ぬがど思った(@o@;)」
・・・じゃなくて、
「おいしすぎて、もうおなかいっぱい!」なので、
その感動の一部始終をご紹介します!
■1日目・まさかの・・・
なんとなく、そんな予感はしてたんです。
だいたい、八峰町の様子が尋常じゃない。もんのすごい吹雪!
同行した友人と、センターへ向かう車中で、
「今日は中止かもしれないね。とりあえず漁師街の散策はないよ。
ないない。間違いない。」と話をしていたんです。それなのに・・・
主催のあきた白神体験センター(八峰町八森)は、「白神山地や日本海での自然体験、
郷土食づくりの体験、創作活動の体験など、さまざまなプログラムを提案する宿泊施設です(HPより)」。
午後1時30分にセンターに到着。スタッフと参加者の顔合わせを行い、
今企画のご担当であるセンターの田中洋輔さんが
説明を始めた時、田中さんの口から「まさか」の一言が。
(田中さん)「きょうは、みなさんの日頃の行いがよほどいいのか、こんな天気(悪天)です。
なので、予定の漁師街の散策は、地吹雪ツアーに変更します。」
ジフブキツアー???
耳を疑うとはこのことだなと思いました。わたしの頭の中が地吹雪で真っ白です。
こうして、暖かいセンターに後ろ髪をひかれながらの出発となりました。
■地吹雪ツアー
登山とかもそうですが、最初のうち「なんだへっちゃら♪」って思っているものに限って、
その後の辛さが身に沁みます。
岩舘漁港に降り立つと、寒いながらも、真冬の海に浮かぶ船の姿もなかなかカッコいいな、
なんて思ってみたりして。しかし、さすが冬の日本海。
容赦ない寒風が、わたしたちの全身をいとも簡単に氷点下に
包み込んでしまうんです。足も顔も、全部全部痛い!
「さんびー!」と叫んでいると、「五所川原の地吹雪に比べたらまだまだ。」と背後から低い声。
長年鉄道の補修管理の仕事をしていらっしゃる男性の貫録の一言でした。
人生の先輩はすごいな、と感服。でもでも、それでも、やっぱり寒いものは寒い!
「あはは、さんびー!」とか「うぉ~、あはははは!」とか「あどいーっ!」とか、
寒さに狂ったような笑い声があちこちから聞こえてくる。これはもう笑うしかないんです。
頬とか鼻とか感覚がなくなって、避難する場所も
覆うものもなければ、そりゃ、笑っとけー!ってなります。
そんな中、漁師町らしい風景がありました。
小屋の天井いっぱいに吊るされたタラ。棒タラだそうです。
見かけただけでも3軒ほどの家できれいに上手に干していました。
港町の冬の味覚。これもまた漁師料理のひとつですね。
しっかり防寒対策をした地元の人が散歩させていた、不思議なくらい愛想のいい犬を激写し、
ようやくバスに乗り込みセンターへの帰路についたのでした。あ~、死ぬかと思った。
■漁師料理を堪能
センターに隣接するハタハタ館の温泉ですっかり生き返った後は、
ツアーのテーマでもある「漁師料理」を堪能です。
場所は、「漁火の館」という八峰町が所有し、地元岩舘の住民に管理をお願いしている施設。
今回のようなイベント利用のほか、宿泊、研修施設としても利用できます。
地元のお母さんたち3人が腕をふるってくれました。皆さんはJR主催の五能線の旅で
これまでも旅行客を相手に料理をふるまってきた方々で、
今回、センターからもご協力をお願いしたのだそうです。
まな板の上には、頭を落とされた巨大なタラ!
漁師のうちに嫁いで30年近いというお母さんも
「こんな大きなタラをさばくのは初めて。」というほど大きなタラです。
男性のなかなかの手つきに、周囲からは賞賛の声。
「やったことあるの?」「いやいや初めてです。早く食べたいですからね。」と、
とても初めてとは思えないテキパキした包丁さばきと話で、見事に巨大タラを片づけました。
一方、こちらはイカの皮むき。新鮮なイカが、この後おいしいお刺身となって
宴会の席に登場しました。本来漁師さんたちは白菜を入れないそうですが、
今回は特別に白菜ありとなしの2種類のタラ鍋が用意されました。
町を歩いて、温泉に入って、もうおなかはぺこぺこです!
タラ鍋、イカ刺しのほか、ギバサや山菜の煮つけなど海と山両方の食材が溢れる
八峰町ならではのメニュー。
これは、白菜無しのタラ鍋。食べ比べましたが、それぞれ美味しさが違っていて、
わたしは白菜が入っていないほうが、タラの味がでていて好きでした。
タラの白子(だだみ)が、本当にたくさん入っていたので、鍋以外にお醤油のさっと煮に。
あっという間に完成したひと品で、これが一番おいしかったという参加者もいました。
これぞ、漁師の家庭料理です。八峰町のお酒といえば欠かせない「白瀑」。
田中さんが冷蔵庫から冷えた酒瓶をそっと持ち出してくれました。
冷えた日本酒とだだみ、刺身…あ、よだれ。
仕事やプライベートの話に盛り上がったかと思うと、突然踊りだす人など、
初対面同士でも楽しいひと時。仕事を忘れて笑い転げてしまいました。
■2日目・五能線に乗る
翌日は、五能線で秋田県側「あきた白神駅」から青森県側「十二湖駅」まで、30分ほどの小旅行です。
あきた白神駅は、県内で唯一「観光駅長」さん(美人)がいることで有名な駅。
この日は残念ながらお会いできませんでしたが、近くへ来た際には、ぜひ会いに行ってみてください。
ディーゼルエンジンの音が心地よい車内に乗り込むと、
みなさん荒れる日本海や海辺に佇む海鳥など、
車窓から見える景色をしきりに写真に納めていました。
ボックスシートで向かい合いながら過ごすのんびりとした時間は、
懐かしくもありとても暖かく、ローカル線ならではの素朴さを十分に感じることができました。
戻りはセンターのバスに乗りこんで、車内から地元の歴史や名所を見学。
この、ドライバー兼案内人の鈴木市郎さんがすばらしい!
普段は山を案内する白神ガイドの会の会員である鈴木さん。
山の動植物のほか、地域の歴史が大好きでご自分で文献などを調べて
知識を深めているのだそうです。知らなければ絶対に見過ごしてしまう民家や神社、
岩や川などが、鈴木さんのなめらかな語り口調と豊富な知識で、
歴史や背景が浮かび上がり、特別なものに見えてくるから不思議です。
■はちもり観光市
2日間にわたる「漁師料理を楽しむ」の締めくくりは、
土日限定で開かれる八森漁港の「はちもり観光市」を見学です。
市場の中は大勢のお客さんと元気な魚屋さんで大いに賑わっていました。
今の旬はやっぱりタラのようで、たくさん並んでいました。
そして、名物のつみれ鍋。
つみれはホッケを使い、この大なべでいっきに作り上げるのだそうです。
ハタハタの季節には一日に何百食も売れる、市場の人気メニュー。
そのつみれ汁とおにぎりに、冒頭で紹介したホタテを追加してお昼ごはん。
市場の一角にはこうして炭火が用意されていて、その場で買ったホタテを焼いて
食べることができるんです。みなさんもぜひお試しください。
■満足の2日間
県内各地から参加したみなさんの表情から、大満足の2日間だったことが
よく分かります。1日目の顔合わせの時、「五能線に乗ってみたくて。」という人や、
「退職後はこちらのほうに住もうと思っているから。」という人など、
参加理由が人それぞれでした。同じことをしていても、感じることや目的が
一人一人違うんだな、と改めて感じました。
今回は「漁師料理」という言葉がキーワードでしたが、
これは、あきた白神体験センターでも初めての試みだったそうです。
八峰町(特に八森)の人々にとって、「漁師料理」とは、いわば「日常食」であり「伝統食」。
食を知るということは、その土地や暮らす人の歴史を垣間見ることなのかもしれません。
豊かな海と山両方をもつ八峰町は、それらの繋がりの重要性と必然性、
そして、そこで生きる人間の立場やあり方、そういう、生きとし生けるものが循環し、
支えあいながら存在する姿を日常の中に感じとることができる、ステキな町だと感じました。
食からその土地の歴史や文化に通じていく。
グリーン・ツーリズムとブルー(海)・ツーリズムを兼ね備えた
八峰町ならではの取り組が、今後も広く浸透していってほしいと思います。
何気に海辺育ちの県北担当 やっつ
協議会会員情報 「漁火の館」
■住所 秋田県山本郡八峰町八森字岩舘向台121
□電話 0185?78?2417(管理者:須藤)
■時間 チェックイン 午後2時/チェックアウト 午前11時
□料金 素泊まり:一泊大人2500円、子ども1500円(風呂あり・自炊可)
食事あり:予約可(3日前までに申し込み)
*料金については、申込時にご相談・ご確認ください。
■その他 年中無休
2010年3月3日02:30 | 県北情報 | Trackbacks (0)