農産物直売所「きみまち 杉ちょっくん」主催
韓国の家庭料理講座
先月中旬、能代市二ツ井の道の駅ふたついに隣接する
農産物直売所「きみまち 杉ちょっくん」で収穫感謝祭が行われ、
特別イベントとして韓国料理教室が開かれました。
講師は、北秋田市合川の文本照子さん。
在日三世である文本さんの韓国料理は、在日一世の祖母に習った
“おばあちゃんの味”です。これまで県内各地で料理教室を開いてきました。
◆韓国のおふくろの味 召し上がれ
この日も、新聞で見たことを思い出したからと友人を誘い足を運んだ、
という女性など10数人が集まりました。
「韓国の家庭料理講座(旬の野菜を使って)」と題して開かれた今回、
文本さんが用意してくれたレシピは、
チヂミ、ゴボウのナムル、キムチチゲ、蒸しダコと大根の和えものの4品。
このうち、キムチチゲ以外の3品を実際に目の前で調理してくれました。
チヂミは、多目の油で周囲をカリッと焼くと、“ふんわりカリッ”でおいしい。
焼きたてをいただく。海鮮チヂミはあっという間になくなりました。
「蒸しダコと大根の和えもの」の大根はしっかり水切り。
薄く輪切りにして千切りにするのがポイントだそう。
ごぼうのナムルは「おいしくな~れ、って念じながら揉みます。」
◆「ひねりごま」
文本さんのお料理にはごまがたくさん登場するのですが、
始めて聞いた言葉で「ひねりごま」という言葉があります。
本来はすりごまでOKですが、「すりごま」は「いりごま」よりも日持ちも悪く、
またわざわざ「いりごま」をするのには手間がかかる…
そうした時に、「いりごま」をそのまま入れるよりも、
親指と人差し指でちょっとひねり潰しながら入れると、
ほどよい香りがでて風味が増すのだそうです。
実際、数m離れた場所でも、文本さんが指をひょいっとひねると、
香ばしい香りが広がって、周囲からは「あ~、いい香り。」と感嘆の声が。
今度挑戦してみようと思います。
◆和韓折衷?
それから、チヂミの材料にちょっと韓国っぽくない材料を発見。
それは、めんつゆ。これって日本の味ですよね?
文本さんに伺うと、
「めんつゆには砂糖も醤油もだしも入っているから便利なの。」とのこと。
日本で生まれ育った文本さんならではの味です。
「韓国料理は焼き肉のように油っぽかったり、
しつこい味というイメージもあるけれど、
実際はお野菜をたっぷり使っているからとってもヘルシーなんです。
秋田には美味しい野菜がいっぱいあるからね。
美味しいって言って食べてもらえるのは嬉しいですよ。」
◆ところ変われど変わっちゃいけない大切なこと。
自宅ではホットプレートじゃなくてフライパン。
ごまだってひねっちゃうし、めんつゆだって使っちゃう。
そんな文本さんを見ていて思ったこと。
それは、大切なのは、材料をひとつ残らず揃えたり、手順を間違わないで作ることじゃなくて、
家族で美味しく“食べ続けていく”ということ。
そこには、日本に生まれ育ちながらも、
韓国人としてのアイデンティティーを失うことなく生きる、誇り高い姿がありました。
「もう作れる人がいないから…」と言って伝統食の灯を消してしまいそうになっている現代、
時代や場所とともにその中身が少しずつ変化をしても、その大きな器は変わらずに残ってほしい。
そして、これは今残さなければ確実に姿を消してしまう。
10年後20年後、食卓の片隅に、祝いの席の膳の上に今と変わらず地域の伝統の味が顔を出しているよう、
絶えず作り食べ続けていく努力が、わたしたち一人一人に必要なことなのかもしれません。
県北担当 やっつ
2009年12月27日23:38 | 県北情報 | Trackbacks (0)