2010年12月23日(木・祝)
大館市曲田にある北鹿ハリストス正教会 曲田福音聖堂で降誕祭(クリスマス)前晩祷が開かれ、
地元の人たちなどおよそ15人が集まり、クリスマスを祝いました。
北鹿(ほくろく)ハリストス正教会 曲田(まがた)福音聖堂は、日本ハリストス正教会の聖堂のひとつで
明治期 聖ニコライによってもたらされたロシア正教からはじまっています。
大館市曲田地区は協議会会員である陽気な母さんの店のある地区。
お店にうかがうたびにこの教会に一度行ってみたいなと思っていたのです。
今回は信徒でなくても中を見学できるということで、歴史ある建造物と素敵なイコンを観に行ってきました。
聖堂の歴史などについて話をする釜谷神父 曲げわっぱの技巧を用いたドーム
曲田福音聖堂は現存する国内最古の木造ビザンチン様式教会堂建築として昭和41年県の文化財に指定されました。
明治25年、曲田に生まれ縁あって洗礼を受けた畠山市之助は、東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)を訪れ、
「これをふるさとにも」と願いニコライ堂を模して曲田の自宅敷地内にこの教会を建てました。
自らの山に植わる天然秋田杉を贅沢に使った木造の教会。
象徴的なドームは曲げわっぱの技術を用いており、すばらしく美しい歪曲を成しています。
また、この教会の文化的価値を高めているのが中に飾られた18点のイコン。
日本の油絵とくに聖像画の先駆けとして知られる山下りんの作品です。
これも聖堂建設の際、畠山市之助が山下りんに依頼して書いてもらったものなのだそうです。
この日、教会を訪れる前にある一人の女性に会いました。
曲田に生まれ、今は市内の別の地域に嫁いでいった70歳を過ぎるその女性は、
昔の日曜学校の様子を今も鮮明に覚えているといいます。
「子どもの時は日曜学校が楽しみでねぇ。じいさんに、うちはキリスト教じゃないから行けばだめだって
言われたものだから、かくれて行ったもんだ(笑)子どもだものやっぱり行きたいじゃない。
家のおやつがイモとかだった時に、行けばチョコレートだのアメだのもらえるんだものね。
ある時、黒い車に乗って外国の人が来たことがあってね。
アコーディオンを持って曲田のつり橋を渡ってきてさ。今でもちゃんと覚えてるよ。
クリスマス会も楽しみだったなぁ。プレゼント交換をするのよ。手作りのお手玉とか色を塗ったコマとかね。」
よっぽど楽しい思い出なのでしょう。昔の話をする女性の顔はまるで子どものように楽しそうでした。
そうして親しんでいたのも小学生くらいまでだったと女性は言います。
時代が流れ、集落にも人が減り、いま北鹿ハリストス正教会の信徒もずいぶんと減ってしまったそうです。
「むかしこの辺で大火があった時、この教会は柿の木に守られてほぼ無傷で残ったんです。
ここは何かに守られているってその時はとても信徒さんも増えたんだけど」と
出席されていた釜谷神父のお母さんが教えてくれました。
その柿の木は今も教会の玄関前に立ち実を成らせ教会を守り続けています。
明日はクリスマス。
どこで誰とどんな風に過ごしていても、この世界のどこかで誰かが自分のことを大切に思ってくれている、
そんな幸せを感じる日になりますように…
事前に連絡をすれば教会内を見学することもできます。
その際は、ぜひ陽気な母さんの店にもお立ち寄りくださいね。
県北担当 やっつ
2010年12月24日13:24 | 県北情報 | Trackbacks (0)