早春を届けるチューリップ
大潟村では毎年、旬のチューリップを一同に展示する「チューリップ作品展」と、旬のチューリップと村の特産品の展示即売会「産直まつり」とを、同時開催しています。先日、会場となった「産直センター潟の店」と「大潟村干拓博物館」でのイベントのもようを取材して参りました。
「Polderlip Wave 2011~大潟村チューリップ作品展~」では、色とりどり、さまざまな品種の大潟産チューリップの切り花・生け花作品が並び、来場者の目を楽しませていました。
この作品展示の主催者である工藤稔徳さんは、「大潟村産の冬のチューリップはハウス栽培で、今頃のシーズンは全国各地から注文が入るほど人気があります。蕾で出荷してお客さんの手に届く頃に満開になるようにしているのですが、どうしても咲き足が早く、温かい場所に置いておくとすぐに花弁が開いてしまいます。けれどそういった植物が魅せる変化まで楽しんで欲しいので、あえてここに展示しています」とお話してくださいました。
平成元年からスタートした村のチューリップの作付けは、いまや東北一を誇る程。
球根の仲介から生産に至るまでの指導は、大潟村にオランダ大使館より派遣されたチューリップ輸入業者がしています。
当日はチューリップ栽培の様子を見学するバスツアーも組まれ、生産者のお話を聞く機会に恵まれました。
大潟村干拓博物館の案内ボランティア・尾倉博さん(上記写真左)の案内のもと、ハウス1棟約3万2000本ものチューリップが栽培されているという大潟村花卉部会の細川忠廉さん(上記写真左から2番目)のチューリップ畑にお邪魔し、説明を受けました。
細川さんのお父さんは角館出身の第4次入植者。苦労して就農したけれど、米を作っていくのが難しくなってきた現在では、忠廉さんが施設園芸(大潟村が秋田県から土地を借り受けし、村内の希望者に貸し出した施設園芸団地内で、水稲以外の花卉・野菜などの部門に力を入れ農業経営を行う)農家として、一生懸命にチューリップに愛情を注いでいます。
「減反から始めたチューリップ栽培は今年で14年目になりますが、米と違い商品として成長させるのが毎回難しい」と細川さん。
「チューリップの栽培は、稲作農家だったことに加えて元手がかかっていること、忘れて欲しくないな」と、案内ボランティアの尾倉さんも口を揃えます。
とはいえ、日本海側の日照の少ない気候は、逆にチューリップの生産に好適地なのだとか。ハウス内の気温は常に12~14℃を保ち、暖房と日照調整を同時に行っています。
昨年12月に定植させたチューリップは、約40㎝に延びるまで遮光しながら育成します(上記写真右)。こうすることで、先に工藤さんがお話してくださった「咲き足の速さ」は軽減されるそうです。
今年の展示会には、約40種類もの出荷が間に合いました。
足元に咲いていたチューリップの球根が欲しいという参加者もおりましたが、
「花が小さいうちに球根を採取するため、今ある花が開ききってしまったものに関しては品質の保障ができません。自信作は『干拓博物館』、購入可能作は『潟の店』で販売してます。そちらを好きに楽しんでいただけたら嬉しいです!」とのアドバイス。
そんなわけで、産直センター潟の店(道の駅おおがた)へレッツゴー♪。
スタッフの小林喜美子さん(上記写真左)。
「大潟村産直まつり」では、大潟産チューリップの即売会、来場者へチューリッププレゼント、大潟産特産品の即売会などが行われていました。大潟村産もち米100%使用のおしるこを来場者に配布した「ポルダー大潟野菜グループ」のスタッフたちは、それはそれは大忙しでしたよ~!。
関東圏の人が淡い色のチューリップを好むのに対し、秋田の人は「これぞチューリップ!」というような「赤・白・黄」のハッキリとした色を好むので、生産者はその両方に睨みをきかせバランス良く作付するのだそうです。なるほど~。
そんな細川さんがお気に入りの品種は、「ビリチック(ビリデフローラ系)」。 ハウスではまだ蕾でした(写真下)。 お客さんのところで満開になるので当たり前ですが、どんな花が咲くのかなぁ~と気になりもう一度干拓博物館に戻ると…。 ありました!(写真右、左側) 温かいため開いてしまいましたが、花弁の途中まで鮮やかな緑色が特徴のビリチック。 とっても謙虚で可憐な雰囲気のチューリップだと思いませんか? |
一足早く大潟村から「春の贈り物」を購入した、県央地区現地特派員 よどぎみ |
admin | 2011年2月28日09:20 | 県央情報 | Trackbacks (0)