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11美しい山間の棚田と清流郷愁をそそる農家レストランで風景と料理を楽しむ杉沢地区清流の会五城目町五城目町を東西に流れる馬場目川沿いの県道を上流へと向かう。田植えを終えたばかりの田んぼ、フジの花、馬場目岳へと続く緑豊かな森。長閑な里山の風景の先にあるのが、馬場目杉沢地域だ。藩政時代から昭和四十年代までは、秋田スギや木炭の一大生産地として栄えていた。裕福な土地柄から、馬場目杉沢に娘を嫁がせると親が喜ぶ、とも言われていた。しかし、林業の衰退とともに人口は減少し、コミュニティや文化の中心的存在だった杉沢小学校が平成十七年に廃校となった。思い出が残るこの場所を何とかしたい、心の大きな拠り所だった学校を失った地域の人たちは、村おこしグループ「清流の会」(会員六十三名)を翌年に結成。廃校舎の有効活用を町に働きかける一方で、馬場目川上流の「ネコバリ岩」を観光資源として整備したり、山菜を特産品化するなど、集落活性化のために様々な取り組みを始めた。その活動に転機が訪れた。地域が映画「釣りキチ三平」のメインロケ地に選ばれ、年間一万人の観光客がこの地を訪れたのだ。周辺には食事や休憩をする場所がなく、翌年には農家レストラン「清流の森」と茅葺き古民家の宿泊施設「盆城庵」の運営を始めることになった。こうした取り組みが評価され、『平成二十三年度秋田県特別表彰』を受賞。二代目会長金澤幸則さんは、「がんばりすぎず、自然体で、次世代へ残したいものを守り、育んでいきたい。」という。仲間との共同作業は、忙しいながらも楽しいひととき。話がはずみ、自然に笑顔がこぼれる。廃校をきっかけにできた「清流の会」だが、今では会の存在こそが、コミュニティのシンボルとなっている。