8月2日(金)、仙北市田沢湖地域で美の国秋田・旬を感じるツアー「クニマスから学ぶ未来」(主催:仙北市農山村体験推進協議会)が実施されました。
「仙北市内の子どもたちに自然と人間とのかかわり方、田沢湖の現在と未来について考えてもらうきっかけを作りたい」との思いから、今回のツアーが企画されました。

夏休み真っ只中の元気な子どもたちとそのお母さんたちが、暑く、熱い一日を過ごしました。その様子をご紹介します。

田沢湖を楽しむ!
 

朝8時半に集合した参加者の皆さんは、早速バスで田沢湖キャンプ場に移動し、仙北市農山村体験デザイン室から説明を受けました。

新しい価値観で、新しい田沢湖の魅力を見つける旅の始まりです。

     
「カヌーに初めて乗る人~」と田沢湖キャンプ場代表の佐藤裕之さんが言うと、「はーい」と腕をピンと伸ばす子どもたち。この日は、子どもたちが最も楽しみにしていたカヌー&カヤック体験からのスタートです。
 
ライフジャケットを身に着けたら、真夏の田沢湖へ繰り出します。
準備体操も入念にね。

絶景が目の前に広がります。でも、この日は眺めるだけの田沢湖じゃないもんね!

 
    

 
カヌーとカヤックにそれぞれ乗り込むと、陽射しの強さも気にならず、湖上で過ごす時間を楽しみました。中には、親子の息が合わず、思いがけない方向に進むカヤックや、競争を始める子どもたちも。水に手を浸してみると気持ちがよく、また、場所によって色が変化する青の美しさに子どもたちは感激しているようでした。
 
地場産の小麦粉でピザづくり! 
 
カヌー&カヤック体験を終えると、同じく田沢湖キャンプ場でピザづくりをスタート。
使用した小麦粉は、仙北市産の「ネバリゴシ」という品種です。
 
 
好きな具材でトッピングするのは子どもたち。ハート型の生地もありました(^^)
そして、石窯で焼くのはお母さんたちの役目。生地がぷくーっと膨らみます。
  
 
ピザが焼きあがると、みんな満面の笑みで頬張っていました。おいしかったね♪
 
子どもたちは休むことなく、汗びっしょりになりながら自分たちで遊びを見つけます。
 
お母さんたちは、木漏れ日が差す自然の中で休憩中。
 
クニマスから学ぶ未来~田沢湖郷土史料館~
 
午後は、田沢湖郷土史料館に場所を移し、田沢湖の再生に向けて活動を続けている三浦久さんを講師に招き、クニマスについて講話していただきました。
 

昭和5年頃、強酸性水である玉川の水を田沢湖に引くことで酸性度を薄め、下流の水田開拓を可能にする計画が進んだそうです。食糧増産と経済発展が優先される情勢の中、不安の声はかき消され、結局クニマスを含む魚類はウグイを除いて死滅しました。

 

写真は、世界に17体しかないクニマスの標本。史料館には2体が展示されています。

   
写真左)三浦さんのお話を聞きながら、しっかりメモを取る子どもたち。
写真右)床に子どもたち4人が寝転がっているのがわかるでしょうか。展示されているのは、かつて田沢湖で漁に利用された丸木舟。この長さで一人乗用です。
 
クニマスから学ぶ未来~玉川酸性水中和処理施設・玉川源水~
 
次に一行が訪れたのは、玉川酸性水中和処理施設です。
(この施設は、普段一般公開していません)
史料館で、三浦さんから「みんなが大人になる頃、クニマスが田沢湖に戻ってこれるように…」とお話をされましたが、実際に川や湖で魚類や植物が生息できるように水質改善(中和処理)しているのがこちらの施設です。
 
粒状の石灰石が大量に詰まった中和反応漕に、玉川温泉の酸性水を流入させ、中和しています。この施設の稼働により、水質は大きく改善され、私たちの暮らしの中で大きな効果を上げています。
施設を案内し、中和について説明をしてくれた清水川さんと一緒に。
 
   

そして、源泉温度98℃、pH1.1~1.2という日本一の強酸性水が湧き出る玉川源水へ。医学的効用が高いと言われており、この日も県内外から多数の湯治客が訪れていました。

 

立ち込める湯気に自然のエネルギーを感じながら、新玉川温泉に向かいました。
 
最後の目的地となった新玉川温泉で、一日の汗を流しました。
 
 

この日、参加した子どもたちから、「カヌーが楽しかった」、「ピザも美味しかったよ」と感想を聞くことができました。また、お母さんからは、「帰りのバスはさすがに寝るだろうと思ったのですが、子どもたちは元気ですね。お友達と楽しく過ごせてよかったです」ともお話いただきました。


低学年の子どもたちが多かったので、pHのお話は少し難しかったかもしれません。
しかし、午前中にカヌーを楽しんだ田沢湖で、クニマスは今現在生息できないことは、きっと理解してくれたと思います。
「どうしたらクニマスが田沢湖に戻ってこれるか」。
自分たちが暮らす仙北市の環境を考える良いきっかけ作りとなったツアーでした。

 

参加されたお母さんから、後日感想を寄せていただきました。

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H(お子さん)の夏休みの絵日記3ページにわたって、びっしりとこの日の感想が書かれていました。

 

「カヌー&ピザ体験、今回3度目となりましたが、楽しかった。クニマスのお勉強、ちょっと難しかったけど、田沢湖の勉強ができて良かった。新玉川温泉とても気持ちよく、入浴後のコーヒー牛乳、こしに手をあてて飲んだら、とてもおいしかった」

 

小学生低学年にとっては、クニマスや玉川、強酸性水の話はまだ少し難しいようでしたが、phを習う頃にまた同じルートで一緒に学べたらと思いました。今回のプログラムは、作られたモノではなく、地域から、先人から親子で学ぶいい機会となり、自分が住んでいる所で学び遊んだ、とても有意義な一日でした。

 

※実は後日開催された水泳教室(夏休み中に4日間限定)にまさかのツアー参加児童が全員参加でした。(他校の児童と)お互いに照れて会話はしないものの、笑顔を通わせ、新しいお友達ができたこともなんだかうれしかったです(^-^)

 

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皆さん、お疲れ様でした!